現地レポート

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2014年01月03日 16時07分

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最後まで桜花学園らしく“爽やかに、たくましく、そして華麗に”戦い抜いた――。



高校総体1位の桜花学園高等学校は3回戦でWJBL5位の三菱電機 コアラーズと対戦し、[67-103]で敗れたものの、井上眞一コーチも、選手たちもすべてを出し切り、爽やかな表情でコートを後にした。


これまでもオールジャパンに出場したことはある。だが、今年のチームはこれまでと大きく異なる点があった。昨日、大学5位の拓殖大学に勝利した後、井上眞一コーチが明かした「今年のチームはやる気がある」という点だ。


高校女子バスケットボール界を引っ張る桜花学園高は例年、「高校3冠」を目標にチームを作り上げる。その一方で3冠――というより、年末のウインターカップを制すると、一種の燃え尽き症候群にも似た感覚に陥ってしまう。それはそうだろう。彼女たちはまだ10代の高校生なのだ。高校生にとっての最高の舞台を制してなお、オールジャパンにもそれと同じくらい高いモチベーション保って戦えというのは酷な話である。しかし、今年のチームにはそれがなかった。大黒柱の馬瓜 エブリン選手は言う。


「昨年のオールジャパンでは初戦で敗れてしまったのですが、そのときウインターカップからの切り替えがうまくできていなかったんです。だから今年はウインターカップで優勝したことは嬉しかったけど、しっかりと切り替えて、オールジャパンで1勝をしようってみんなで言っていたんです」



その意気込みが、名将・井上コーチをも奮い立たせ、本気の勝負に向かわせたわけだ。


そうして勝ち得たWリーグのチームとの対戦。結果は完敗だったが、酒井 彩等選手は「思ったよりもシュートに行けました。決定力の差は出てしまいましたが、自分としてはもっと打つことさえできないと思っていたので、その点はよくできたんじゃないかと思います」と笑顔を見せる。井澗 絢音選手も「パワーも、技術も三菱電機のほうが上でした。でも自分たちのやれることはやれたと思います」と胸を張る。


ベンチ入りしている3年生プレイヤー7人のうち5人がWリーグのチームに入る予定である。パワー、技術、スタミナなど足りない部分は数多くあるが、それらを高校生のときに、しかも公式戦で体感できたことは大きな財産だろう。5人のうちの1人である井澗選手も「まずはパワーをつけなきゃいけません」と言いながら、「でもWリーグの舞台でプレイできることは本当に楽しみです」と笑顔を見せている。


入団してすぐに、今回敗れた三菱電機などと対等に戦えることはないだろう。間違いなく時間はかかる。それでも今日のゲームを基準に、彼女たちがこれからどう成長していくのか、楽しみである。2020年の主力となりうる選手たち。オールジャパン2014は彼女たちにとって出発点に過ぎない。



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